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家賃値上げを断られたら──交渉が通りやすくなる2つの根拠

家賃の値上げを打診して断られた。多くの大家さんが、そこで引き下がってしまいます。でも交渉には戦い方があります。サロンの顧問弁護士から学んだ、通しやすくなる2つの根拠を紹介します。

目次

断られるのは、珍しいことではない

300室を保有し、自社でも管理しているので、値上げ交渉は日常的に発生します。基本的にどの物件も3,000円の値上げを打診していますが、それでも断られることはあります。

周りの大家さんに聞いても、断られている人は多い。そしてそのほとんどが、そのまま受け入れてしまっています。裁判をするしかなくなるので、現実的には飲むしかない——そう考えてしまうからです。

ただ、断られる人の多くには共通点があります。値上げの根拠を用意していないことです。

根拠①:消費者物価指数

賃貸借契約書には、協議のうえで賃料を変更できる条項が入っています。世の中の物価が上がっているのであれば、それは賃料を見直す正当な理由になります。

消費者物価指数は国が公表しているので、誰でも調べられます。「昨年度と比べて物価が何%上がっている」と数字で示せるのが強みです。

ここ20年ほど、この業界に賃料を上げられる局面はありませんでした。デフレで物価が下がるなか、賃料もそこまでは下がらなかった。上げられる局面は、実は今回が初めてです。追い風が吹いているうちに動く価値があります。

根拠②:賃貸事例比較法

もうひとつが、近隣の似た物件がいくらで募集に出ているかを示す方法です。

調べてみると、自分の物件の家賃が相場より低いことは珍しくありません。「近隣はこの水準です」と並べて見せることで、5万円を5万5,000円にする、といった交渉が現実的になります。

この2つを揃えて、納得できる材料として提示する。それだけで通りやすさは変わります。

交渉するのは、あなたではなく管理会社

ここが実務上いちばん大事なところです。実際に入居者と交渉するのは管理会社です。大家がロジックを理解していても、管理会社が分かっていなければ意味がありません。

そこで、こちらから資料を用意します。エリアの物価指数と近隣の募集賃料をまとめ、「これを添付して説明してください」と管理会社に渡す。手前の仕事は増えますが、通る確率が上がります。

3,000円で出して、2,000円で折り合う

3,000円という金額にも理由があります。よくあるのが「3,000円は無理だが2,000円なら」という返し。そこで交渉が成立するケースが多いのです。

少し高めに出しておいて、下げ幅を残しておく。2,000円でも年間で2万4,000円の増収です。300室の規模になれば、それだけで大きな金額になります。

失敗例:100万円損した値上げ

値上げの判断を誤ると、逆効果になります。実際にあった失敗です。

4万9,000円で入居してもらっていた戸建てがありました。早く客付けしたくて安めに設定した物件で、相場は6万5,000円ほど。更新のタイミングで値上げを打診したところ、「値上げするなら出ていきます」と言われました。

安いまま貸し続けるより、いったん退去してもらって相場で貸し直したほうが売却価格も上がる。そう判断して見送ったところ、半年間空室になりました。空室損に原状回復費用、次の募集費用を足して、およそ100万円の損です。

仮に1万5,000円の値上げに成功していたとしても、年間18万円。100万円を取り戻すのに5〜6年かかります。強気に出ればいいというものではありません。

断られた例:ロジックで返された

もうひとつ、印象に残っているケースです。7万5,000円ほどのマンションで、2年の更新時に3,000円の値上げを打診したところ、こう返されました。

「私は3年間ここに住むつもりで、その家賃で計算しています。上げられると困ります」

あまりにロジカルだったので、そこは値上げしませんでした。ただし「更新して1年後に上げます」と予告だけはしておきました。断られたときも、次の布石は打っておく。これが大事です。

伝えるタイミング

実務では更新の2ヶ月前に伝えています。本来は半年前が親切ですが、半年前に伝えると「出ていく準備期間」を与えてしまうという難しさがあります。

かといって1ヶ月前に急に言われても、入居者は納得できません。いきなり今月から報酬を減らすと言われるようなものです。早すぎず、遅すぎず。そのバランスを取るしかありません。

裁判は、まず費用倒れになる

法的手段はありますが、現実的ではありません。着手金だけで20万円ほど、報酬は増額分の数年分に対して一定割合。月数千円の値上げでは、まず割に合いません。

相談した弁護士からも「少額訴訟をご自身でやってみては」と言われたほどです。手間を考えれば、根拠を揃えて交渉するほうが早いという結論になります。

おまけ:そもそも家賃はどう決めるか

近隣の事例を並べて、その間あたりを見ます。徒歩5分のところに18㎡で5万円のアパートがあるなら、20㎡の自分の物件は5万2,000円くらい。そこから少しチャレンジして5万5,000円で出してみる。反響がなければ下げます。

空室がすぐ埋まるのは良いことに見えますが、安すぎる可能性もあります。「空いてから3ヶ月以内で決まれば適正」——これが師匠から教わった目安です。

ただし、まだ物件を持っていない人は返済が始まるので、まず埋めることが優先。フェーズによって正解は変わります。

まとめ

  • 断られるのは普通。根拠がないまま交渉していることのほうが問題
  • 根拠は消費者物価指数と賃貸事例比較法の2つ
  • 交渉するのは管理会社。資料はこちらで用意して渡す
  • 高めに出して折り合う。ただし強気すぎる値上げは100万円の損になり得る
  • 断られても次回の予告はしておく

この記事は、YouTube「バランス大家ちゃんねる」で公開した内容をもとに再構成したものです。
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