
融資が通った。それだけで安心してしまう人が、いちばん危ない。新築木造・30年・低金利・ほぼフルローン——パッと見は理想的なこの条件が、人によっては「やめておいたほうがいい」になります。受けてはいけない融資条件を、数字の基準とあわせて整理しました。
「融資は通った。でも、返せますか?」
相談を受けていて「これは気をつけて」と伝えるケースの多くが、条件そのものは良く見える融資です。新築木造で期間30年、金利もそこそこ安く、ほぼフルローン。悪いところが見当たりません。
問題は融資条件ではなく、その条件で買おうとしている物件のほうにあります。利回りが低すぎるのです。
初心者がまず見るべきは「返済比率」
家賃収入のうち、どれだけを返済に充てるか。これが返済比率です。年間家賃1,000万円で返済700万円なら70%になります。
- 50%以下——理想。ただし利回り・金利・期間の三拍子が揃わないと届かない
- 60%台——現実的な合格ライン
- 70〜80%——初心者は避けたい
たとえば利回り6%・期間30年・金利2.5%で組むと、返済比率は7〜8割に届きます。10戸のうち8戸埋まっていないと持ち出しが出る、という状態です。
返済比率70%なら、10戸のうち3戸空いた時点でアウト。ほかに家賃収入があればカバーできますが、1棟目の人にはその余力がありません。持ち出しが増え、焦りが出て、判断が鈍っていきます。
返済比率が高くても許容できるのは、都内の一等地のようにそもそも空室がほとんど出ない物件に限られます。地方の主要駅から4つ離れた場所で利回り6%台の新築、というのが典型的な危ないパターンです。
キャッシュフロー率は2%を目安に
もうひとつの指標がキャッシュフロー率です。1億円の物件で、管理費や空室率も見込んだうえで年間いくら手元に残るか。
- 2%——優秀
- 1.5%——最低ライン
- 1%以下——要注意
「1%以下・地方・長期ローンで残債も減らない」という組み合わせが、いちばん抜け出しにくくなります。
耐用年数切れに、長期で引いてはいけない
これが次の融資を止める典型です。
耐用年数の切れた木造に30年で融資が付き、しかも金利が高い。A行はそれで貸してくれたとしても、B行は「本来この物件は15年で引き直すべき」として再計算します。その結果債務超過に見えてしまい、次が引けなくなるのです。
ノンバンクにはこうした融資に応じてくれるところがありますが、金利は高くなります。返済予定表を見ると、月の支払いのうち大半が利息、ということも起こります。
さらに、最初に借りた金融機関の金利は、その後の交渉の基準になります。「あそこがこの金利で貸しているなら、うちもこれで」と見られる。逆に最初が低金利なら、それに合わせてもらえることもあります。中長期を見据えるなら、入口の選び方は慎重に。
なお、耐用年数超えの物件を買ってはいけないという話ではありません。15年・20年など、他行から見ても健全な期間で組めば問題ない。組み方の問題です。
自己資金を入れすぎない
意外に見落とされるのがこれです。
5,000万円の物件で評価が出ず、頭金2,000万円を入れて3,000万円の融資を受ける。返済比率は下がりますし、数字の見た目も良くなります。ただし規模拡大という観点では逆行しています。
同じ2,000万円を使うなら、1億円の物件を1割の頭金で買ったほうがいい。500万円で1億円が買えるなら、その2,000万円で4棟に手が届く計算です。
目安は総事業費の10%以内。物件価格に諸費用が7%ほど乗るので、1億円なら1億700万円。その1割の持ち出しで収まるかどうかを見ます。15%・20%を求められるなら、それは入れすぎのサインです。
金利より、額を貸してくれるか
金利は4%以外は誤差だと考えて、金利交渉より融資額の交渉を優先する。これが基本姿勢として語られていました。金利は金融機関の儲けであり、こちらだけが得をしても関係は続きません。
目安として、信用金庫は3%台、アパートローンで2.2〜2.5%、地銀やメガバンクでもっと低い水準。住宅ローンの感覚で「3.5%は高すぎる」と感じてしまいますが、投資用の融資はそういうものです。
返済期間は、フェーズで変える
初期は長く組んでキャッシュフローを作り、貯めた自己資金で次を買う。月10万円のキャッシュフローが年120万円になり、それを再投資して月20万円にする。複利の考え方です。
規模が出てきたら短く。残債が減るスピードが上がります。1億円の物件を10年で組めば5年後には残債が半分。30年で組むと5年経っても1,500万円ほどしか減りません。
減った残債は、売却して現金化してもいいし、共同担保に入れて次の物件を買ってもいい。残債が減ることを「コンクリート貯金」と呼んでいます。キャッシュフローだけに囚われると、買えるはずの物件を逃すことになります。
まとめ
- 融資が通ったかではなく、返せるかで判断する
- 返済比率は60%台まで、キャッシュフロー率は2%を目安に
- 耐用年数切れに長期で引くと、次の融資が止まる
- 自己資金は総事業費の10%以内。入れすぎは規模拡大の逆行
- 金利交渉より融資額の交渉。返済期間はフェーズで変える
この記事は、YouTube「バランス大家ちゃんねる」で公開した内容をもとに再構成したものです。
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